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放課後等デイサービスの始め方|指定要件・人員基準・開業の流れ

  • 執筆者の写真: 和久 竹村
    和久 竹村
  • 5 日前
  • 読了時間: 8分

結論:まず押さえる4つのポイント


放課後等デイサービス(以下、放デイ)を始めるには、児童福祉法に基づき、事業所を管轄する都道府県・指定都市・中核市など(指定権者)から「指定」を受ける必要があります。指定は法人でなければ受けられないため、株式会社や合同会社、NPO法人などの法人格があることが大前提です。


満たすべき基準は大きく「人員基準(管理者・児童発達支援管理責任者・児童指導員または保育士などの配置)」「設備基準(指導訓練室などの広さ・構造)」「運営基準(個別支援計画の作成など)」の3つです。


実務の流れは、(1)法人設立、(2)物件の確保と内装、(3)人員の確保、(4)指定申請、(5)指定・開所、という順序が基本です。申請から指定までは通常2〜3か月ほどかかります。なお放デイは2024年(令和6年)度の報酬改定に続き、2026年(令和8年)6月にも期中改定が行われています。詳細な数値や運用は最新の告示・通知と、お住まいの自治体の手引きで必ず確認してください。


放課後等デイサービスとは


放デイは、就学している障害のある子ども(原則6〜18歳)が、放課後や夏休みなどの長期休暇中に通い、生活能力の向上のための訓練や社会との交流などの支援を受けるサービスです。児童福祉法に位置づけられた「障害児通所支援」の一つで、所管はこども家庭庁です(2023年4月の発足以降、障害児支援は厚生労働省からこども家庭庁へ移管されています)。


サービスの利用には、保護者が市区町村から「通所受給者証」の交付を受ける必要があり、利用料は原則1割負担で、世帯所得に応じた月額上限が設けられています(出典:こども家庭庁「放課後等デイサービスガイドライン」等)。


◇似たサービスとの違い


未就学(0〜6歳)の障害児を対象とするのが「児童発達支援」です。放デイとは対象年齢が異なりますが、人員基準や設備基準、報酬の考え方は共通する部分が多く、両方を一体的に運営する事業所も少なくありません。


指定を受けるための3つの基準


1. 人員基準(誰を配置するか)


放デイで必須となる職種は、次の3つです(出典:児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準=厚生労働省令第15号)。


  • 管理者:事業所の運営を統括します。原則として他職種との兼務は可能です。


  • 児童発達支援管理責任者(児発管):個別支援計画の作成など、支援の中核を担う責任者です。管理者との兼務はできますが、児童指導員や保育士との兼務はできません。1名以上の配置が必要です。


  • 児童指導員または保育士:直接支援を行う職員です。定員10名以下の事業所では、サービス提供時間を通じて2名以上の配置が必要とされ、そのうち1名以上は常勤であることが求められます。利用定員が10名を超える場合は、10名を超えて5名(またはその端数)を増すごとに1名を加えた数を配置します。


なお、児童指導員等の配置基準の細かな計算方法は指定権者(自治体)により運用が異なる場合があります。常勤・専従の取り扱いや加配加算の要件も含め、最新の告示・通知とお住まいの自治体の手引きで要確認です。


児童発達支援管理責任者(児発管)の要件


児発管は、放デイの開業で最もネックになりやすいポジションです。配置するには、(1)一定の実務経験(相談支援業務や直接支援業務などで原則3〜8年。業務の種類により必要年数が異なります)と、(2)所定の研修(基礎研修・実践研修)の修了の両方を満たす必要があります(出典:厚生労働省・こども家庭庁通知、各自治体の児発管実務経験一覧表等)。


研修は基礎研修を修了した後、一定期間のOJT(実地研修)を経て実践研修を修了する流れです。研修の開催回数は自治体ごとに限られているため、人材の確保と研修スケジュールには余裕を持つことをおすすめします。実務経験として認められる業務範囲や年数の数え方は自治体により判断が分かれることがあるため、採用予定者の経歴は事前に指定権者へ確認すると安全です。


2. 設備基準(どんな物件が必要か)


放デイの物件には、おおむね次の設備が求められます。


  • 指導訓練室(支援を行う部屋)

  • 相談室(プライバシーに配慮した区切り)

  • 事務室

  • トイレ、洗面所 など


指導訓練室の広さについては、児童発達支援センター等で「利用者1人あたり2.47㎡以上」とされている考え方が一つの目安となりますが、放デイの指導訓練室そのものの面積は省令上で一律に数値が定められているわけではなく、自治体が独自の上乗せ基準(例:1人あたり3㎡など)を設けているケースが多くあります。必要な面積・定員の上限は、お住まいの自治体の手引きで必ず確認してください。


物件は建築基準法・消防法への適合も必須です。用途地域、建物の用途変更の要否、消防設備(自動火災報知設備など)の有無は、契約前に行政の窓口や消防署へ確認しておくと、後戻りを防げます。


3. 運営基準(どう運営するか)


指定後は、児発管による個別支援計画の作成、運営規程の整備、業務管理体制の構築、虐待防止・身体拘束適正化の取り組み、非常災害対策などが求められます。これらは指定の要件であると同時に、後の実地指導(運営指導)でも確認される重要事項です。


■開業までの流れ(ステップ)


ステップ1:事業計画・資金計画


対象とする子どもの層、提供する支援プログラム、定員、収支の見通しを固めます。物件取得費・内装費・人件費・運転資金など、開所前から数か月分の資金を準備しておくことが重要です。


ステップ2:法人設立


放デイは個人事業では指定を受けられません。株式会社・合同会社・NPO法人などを設立し、定款の事業目的に「児童福祉法に基づく障害児通所支援事業」など、指定に対応した文言を入れておきます。


ステップ3:物件確保と人員確保


設備基準・消防法・建築基準法を満たす物件を確保し、管理者・児発管・児童指導員等を採用します。前述のとおり児発管の確保がボトルネックになりやすいため、早めに動きます。


ステップ4:指定申請


事前協議(自治体によっては必須)を経て、指定権者へ指定申請書類一式を提出します。多くの自治体では申請の締切日と指定日(毎月1日付など)が決まっているため、スケジュール逆算が欠かせません。申請から指定までは一般に2〜3か月程度を見込みます。


ステップ5:指定・開所


指定を受けたら開所できます。指定後は国保連を通じた給付費請求の手続きなど、実務の運用も始まります。


報酬改定の最新動向(2024年・2026年)


放デイの基本報酬は、2024年(令和6年)度の報酬改定で、支援の提供時間などに応じた評価へと見直され、各種加算も再編されました。さらに2026年(令和8年)6月には期中改定が行われ、介護・福祉職員の処遇改善加算の拡充などが盛り込まれています。


開業時に特に注意したいのは、2026年6月1日以降に新たに指定を受ける事業所について、基本報酬の取り扱いが見直された点です。新規指定の時期によって収支の前提が変わり得るため、最新の単位数・算定要件は必ずこども家庭庁・厚生労働省の告示および留意事項通知、WAM NET、自治体の手引きでご確認ください(本コラムは特定の収益を保証するものではありません)。


よくある質問(FAQ)


Q1. 個人事業主でも放課後等デイサービスを開業できますか?


できません。放デイは法人でなければ指定を受けられません。株式会社・合同会社・NPO法人などの法人格が必要です。


Q2. 開業までどのくらいの期間がかかりますか?


法人設立や物件探しを含めると、準備に半年〜1年程度を見込む方が多いです。指定申請そのものは、提出から指定まで一般に2〜3か月ほどかかります。締切日・指定日は自治体により異なるため、手引きで確認してください。


Q3. 児童発達支援管理責任者(児発管)がいないと開業できませんか?


児発管は必須の配置です。配置には実務経験と所定の研修修了の両方が必要で、研修の開催回数も限られるため、人材確保は早めに進めることをおすすめします。実務経験の認定は自治体により判断が分かれる場合があるため、事前確認が安全です。


Q4. 指導訓練室はどのくらいの広さが必要ですか?


「利用者1人あたり2.47㎡以上」が一つの目安ですが、自治体が独自の上乗せ基準(例:1人あたり3㎡など)を設けていることが多くあります。必要面積・定員上限は指定権者(自治体)により異なりますので、お住まいの自治体の手引きで必ず確認してください。


Q5. 開業後に気をつけることは何ですか?


個別支援計画の適切な作成・更新、人員配置基準の維持、虐待防止・身体拘束適正化の体制づくりなどが重要です。これらは実地指導(運営指導)でも確認されるため、開所当初から運営基準に沿った体制を整えておくことが、安定経営につながります。


おわりに


放デイの開業は、法人設立から人員・設備・運営の各基準を一つずつ満たし、指定申請にたどり着くまでに多くの確認事項があります。特に人員基準・面積・定員・報酬の数値は、最新の告示と指定権者(自治体)の手引きで必ず裏取りすることが、手戻りを防ぐ最大のコツです。


行政書士 結和法務事務所では、障害福祉分野の指定申請を専門に、事前協議から書類作成までサポートしています。開業をご検討の方は、お早めにご相談ください。


※本コラムは2026年6月時点の情報をもとに作成しています。制度や基準は改定される場合があり、また指定権者により取り扱いが異なります。具体的な手続きは最新の公式情報とお住まいの自治体の窓口でご確認ください。


度の報酬改定に続き、2026年(令和8年)6月にも期中改定が行われています。


詳細な数値や運用は最新の告示・通知と、お住まいの自治体の手引きで必ず確認してください。



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