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児童発達支援の始め方|指定要件・人員基準・開業の流れを解説

  • 執筆者の写真: 和久 竹村
    和久 竹村
  • 5 日前
  • 読了時間: 7分

児童発達支援(しどうはったつしえん:未就学の障害児等に発達支援を提供する通所サービス)を始めるには、何から準備すればよいのでしょうか。「資格があれば開業できる」「物件を借りればすぐ始められる」と思われがちですが、実際には法人格の取得・人員基準・設備基準・運営基準を満たしたうえで、指定権者(自治体)への指定申請が必要です。


この記事では、障害福祉を専門とする行政書士の視点から、児童発達支援の指定要件・人員基準・開業までの流れを、令和6年度報酬改定および令和8年(2026年)6月改定の最新情報を踏まえて整理します。


結論:児童発達支援は「3つの基準+指定申請」で始まる


児童発達支援を始めるには、次の流れが基本です。第一に、株式会社や合同会社、NPO法人などの法人格を取得します(個人事業では指定を受けられません)。第二に、人員基準・設備基準・運営基準という3つの基準を満たします。第三に、事業所の所在地を所管する指定権者(都道府県・政令市・中核市など。以下「自治体」)へ指定申請を行い、指定を受けて開業します。


なお、令和8年6月には報酬改定(処遇改善加算の拡充や基本報酬の見直し等)が予定されており、開業計画は最新の告示・通知で確認することが重要です。


児童発達支援とは(所管はこども家庭庁)


児童発達支援は、児童福祉法に基づく「障害児通所支援」のひとつで、主に未就学の障害のある子ども等に対し、日常生活の基本的動作の指導や集団生活への適応訓練などの発達支援を提供するサービスです。所管はこども家庭庁(支援局障害児支援課)で、報酬や運営の基準は厚生労働省・こども家庭庁が示す告示・通知等によって定められています。


事業所には、一般的な「児童発達支援事業所(センター以外)」と、より地域の中核的役割を担う「児童発達支援センター」があります。本記事は、新規開業で選ばれることの多い「センター以外」の事業所を中心に解説します。センターは人員・設備の基準がより手厚く設定されているため、別途自治体の手引きでご確認ください。


児童発達支援の指定要件(3つの基準)


指定を受けるには、人員・設備・運営の3基準を満たす必要があります。順に見ていきます。


① 人員基準(児発管・児童指導員等)


センター以外の児童発達支援事業所(主に重症心身障害児以外を受け入れる場合)では、おおむね次の人員配置が求められます。


  • 管理者:1人以上。原則として専従ですが、業務に支障がなければ他職種(児発管など)との兼務が認められる場合があります。

  • 児童発達支援管理責任者(じどうはったつしえんかんりせきにんしゃ。略称「児発管(じはつかん)」):1人以上。専任かつ常勤であることが求められ、所定の実務経験と研修修了が要件です。

  • 児童指導員(じどうしどういん)または保育士:利用定員10人の場合、合計2人以上(うち1人以上は常勤)。利用定員が10人を超える場合は、超える人数が5またはその端数を増すごとに1人を加えた人数が必要です。


ここで重要な注意点として、児発管は児童指導員・保育士の必要数にはカウントできません。また、利用定員は10人以上で設定するのが原則です。


なお、主に重症心身障害児を受け入れる事業所では、嘱託医・看護職員・機能訓練担当職員などの配置が別途求められます。配置の細部や常勤換算の扱いは自治体により運用が異なる場合があるため、必ずお住まいの自治体の手引きと最新の告示でご確認ください。


② 設備基準(指導訓練室の面積など)


設備面では、発達支援を行うための指導訓練室のほか、相談室、事務室、便所、洗面所などが必要です。指導訓練室については、児童1人あたりおおむね2.47平方メートル以上を確保することが一つの目安とされていますが、面積の算定方法や定員との関係は自治体の運用によって異なる場合があります。


物件を契約する前に、図面を持って自治体に事前相談することを強くおすすめします。後から「面積が足りない」「用途地域や建築基準に適合しない」と判明すると、契約のやり直しになりかねないためです。具体的な面積要件・区画の考え方は、最新の基準とお住まいの自治体の手引きで要確認です。


③ 運営基準(運営規程・各種記録など)


運営基準では、運営規程の整備、利用者・保護者への重要事項説明、個別支援計画の作成、虐待防止・身体拘束等の適正化に関する取組、衛生管理、苦情対応、各種記録の整備などが求められます。これらは指定後の実地指導(運営指導)でも確認される項目です。


児童発達支援 開業までの流れ(6ステップ)


開業までの一般的な流れは次のとおりです。スケジュールは自治体の指定申請の受付スケジュール(締切日)に左右されるため、早めの逆算が欠かせません。


ステップ1:事業計画・法人設立


サービス内容・定員・収支計画を固め、株式会社・合同会社・NPO法人などの法人を設立します。既存法人の場合は、定款の事業目的に「児童福祉法に基づく障害児通所支援事業」等が含まれているかを確認し、なければ目的変更を行います。


ステップ2:自治体への事前相談


指定権者(自治体)の障害児支援担当窓口へ事前相談を行い、申請スケジュール・必要書類・地域の整備状況を確認します。この段階で物件の図面を見てもらうと、設備基準のミスマッチを防げます。


ステップ3:物件確保・人員確保


設備基準と用途地域・建築基準を満たす物件を確保し、児発管・児童指導員・保育士など必要な人員を採用します。とくに児発管は採用が難しく、開業のボトルネックになりやすいため早めに動きます。


ステップ4:指定申請


申請書類(運営規程、人員の資格・実務経験を証する書類、平面図、設備の写真など)を準備し、締切日までに自治体へ提出します。書類は多岐にわたるため、専門家の確認を受けると差し戻しを減らせます。


ステップ5:審査・指定


自治体による審査を経て、要件を満たせば指定を受けます。指定の効力が生じる日(通常は申請月の翌月以降の月初など)は自治体により異なります。


ステップ6:開業・運営開始


指定日以降にサービスを開始します。開業後は個別支援計画の作成・各種記録の整備を確実に行い、報酬請求(国保連請求)の体制を整えます。


令和6年度改定・令和8年6月改定で押さえるべきポイント


令和6年度報酬改定では、支援時間に応じた評価(時間区分)の導入や、児童発達支援管理責任者・児童指導員等加配加算など各種加算の見直しが行われました。


さらに令和8年(2026年)6月には、処遇改善加算の拡充(対象を福祉・介護職員から障害福祉従事者全般へ拡大する方向)や基本報酬の見直し等が予定されています。加算の名称・区分・算定要件は改定で変わるため、開業時に算定を見込む加算は、最新の告示・通知とお住まいの自治体の手引きで必ず確認してください。本記事では、裏付けの取れない単位数・要件の記載は避けています。


よくある質問(FAQ)


Q1. 個人事業主でも児童発達支援を始められますか?


いいえ。指定を受けるには法人格が必要です。株式会社・合同会社・NPO法人などを設立し、定款の事業目的に障害児通所支援に関する記載を加えたうえで申請します。


Q2. 児童発達支援管理責任者(児発管)は必ず必要ですか?


はい。専任・常勤の児発管を1人以上配置することが人員基準で求められます。所定の実務経験と研修修了が要件で、児童指導員・保育士の必要数にはカウントできません。採用に時間がかかりやすい点に注意してください。


Q3. 利用定員は何人から設定できますか?


原則として10人以上で設定します。定員が10人を超える場合は、児童指導員・保育士の必要数も段階的に増えます。具体的な人数は最新の告示でご確認ください。


Q4. 開業までどのくらいの期間がかかりますか?


法人設立・物件確保・人員採用・指定申請を含めると、準備状況により数か月以上かかるのが一般的です。指定申請には自治体ごとに締切日があり、間に合わないと指定月がずれ込むため、スケジュールの逆算が重要です。


Q5. 児童発達支援と放課後等デイサービスは何が違いますか?


児童発達支援は主に未就学児、放課後等デイサービスは主に就学児(小学生〜高校生)を対象とする点が基本的な違いです。両者を一体的に運営する事業所もあります。要件は事業ごとに確認が必要です。


まとめ


児童発達支援を始めるには、法人格の取得、人員・設備・運営の3基準の充足、そして指定権者(自治体)への指定申請という流れが基本です。とくに児発管の確保と設備基準を満たす物件選びが、開業スケジュールを左右します。


人員基準・設備基準・加算の要件は、報酬改定(令和6年度改定、令和8年6月改定など)や自治体の運用によって変わります。指定権者(自治体)により異なる点も多いため、開業をお考えの際は、最新の告示・通知とお住まいの自治体の指定申請の手引きを確認のうえ、障害福祉を専門とする行政書士などへ早めにご相談ください。

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