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生活介護の始め方|指定要件・人員基準・区分要件を専門家が解説

  • 執筆者の写真: 和久 竹村
    和久 竹村
  • 4 日前
  • 読了時間: 8分

結論:生活介護の開業は「法人格・人員・設備・利用者像」の4点を自治体の手引きで先に固める


生活介護(せいかつかいご:常時介護を要する障害のある方に、入浴・排せつ・食事の介護や創作・生産活動の機会を日中提供するサービス)を始めるには、まず法人格を備えたうえで、指定基準(人員基準・設備基準・運営基準)をすべて満たす必要があります。


特に重要なのは、(1)管理者・サービス管理責任者・生活支援員・看護職員・医師などの「人員基準」、(2)訓練・作業室や相談室などの「設備基準」、(3)利用者の「障害支援区分」に応じた職員配置の手厚さ(6対1〜3対1)です。


生活介護の指定権者は都道府県・指定都市・中核市などで、面積の最低基準や添付書類など細部は自治体ごとに異なります。本記事は厚生労働省の基準・告示や各自治体の手引きを踏まえた一般論であり、実際の数値・運用は必ず最新の告示とお住まいの自治体の指定申請の手引きでご確認ください。



生活介護とはどんなサービスか


制度上の位置づけ


生活介護は、障害者総合支援法に基づく「介護給付」の日中活動系サービスです。常時介護を必要とする障害のある方に対し、主に昼間、入浴・排せつ・食事などの介護、調理・洗濯・掃除などの家事支援、生活に関する相談・助言のほか、創作的活動や生産活動の機会を提供し、身体機能・生活能力の維持向上を図ることを目的としています(厚生労働省「障害福祉サービスの内容」)。


似たサービスとの違い


同じ日中活動でも、就労継続支援B型が「就労や生産活動」に主眼を置くのに対し、生活介護は「常時の介護」と「日中活動の場の提供」が中心です。利用対象も障害支援区分によって明確に区切られている点が特徴です。



誰が利用できるか(障害支援区分の対象要件)


生活介護は、対象者が障害支援区分(障害の多様な特性などに応じて必要な支援の度合いを総合的に示す区分。区分1〜6があり、数字が大きいほど支援の必要度が高い)で線引きされています。厚生労働省の整理では、対象者は次のとおりです。


年齢による区分要件の違い


  • 原則:障害支援区分が区分3以上(施設入所支援と併せて利用する場合などは区分4以上)の方

  • 50歳以上の場合:障害支援区分が区分2以上(施設入所支援と併せて利用する場合などは区分3以上)の方


このように、50歳以上の方は1区分緩和されるのが大きなポイントです(厚生労働省「障害福祉サービスの内容」)。


区分が下回る場合の特例


上記の区分に満たない場合でも、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案の作成などの手続きを経て、市町村が利用の必要性を認めたときは対象となる場合があります。判断は市町村ごとに行われるため、個別の取扱いは支給決定を行う市町村にご確認ください。



人員基準:そろえるべき職種と配置


生活介護では、職種ごとに配置基準が定められています。ここでは厚生労働省令(指定障害福祉サービスの基準)に基づく一般的な枠組みを整理します。


管理者


事業所ごとに1名以上の配置が必要です。一定の条件下では他の職務との兼務が認められる場合があります。


サービス管理責任者(サビ管)


利用者の個別支援計画の作成などを担う中核職種で、原則として配置が必要です。配置数の目安は、利用者おおむね60人ごとに1人以上とされています(いわゆる「60対1」)。サビ管には所定の実務経験と研修修了の要件があるため、人材確保は早めに動くことが実務上の鍵になります。


医師


利用者の健康管理・療養上の指導を行うために配置が求められます。嘱託(非常勤の委嘱)でも差し支えないとされていますが、未配置の場合は減算の対象となる点に注意が必要です。


看護職員・生活支援員・理学療法士・作業療法士など


看護職員、生活支援員のほか、機能訓練を行う場合は理学療法士(PT)または作業療法士(OT)を配置します。令和6年度報酬改定では、高次脳機能障害等による言語障害のある方の支援に対応するため、配置できる職種に言語聴覚士(ST)が加わりました(厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」)。


平均障害支援区分に応じた職員の配置数(6対1・5対1・3対1)


生活支援員・看護職員・PT・OT等の総数は、利用者の「平均障害支援区分」に応じて、常勤換算で次のように手厚さが変わります。


  • 平均障害支援区分が4未満:利用者数を6で除した数以上(6対1)

  • 平均障害支援区分が4以上5未満:利用者数を5で除した数以上(5対1)

  • 平均障害支援区分が5以上:利用者数を3で除した数以上(3対1)


利用者像によって必要人数が大きく変わるため、想定する利用者層を踏まえて採用計画を立てることが重要です。なお、生活支援員のうち最低1名は常勤とする、といった常勤要件もあるため、配置の細部は最新の基準省令と自治体の手引きで確認してください。



設備基準:必要な部屋と面積の考え方


生活介護では、サービス提供に必要な設備を備える必要があります。一般的に求められる主な設備は次のとおりです。


主な必要設備


・訓練・作業室(創作的活動や生産活動、機能訓練などを行うスペース)

・相談室(プライバシーに配慮した間仕切り等のある空間)

・洗面所・トイレ(利用者の状況に応じた設備)

・多目的室その他必要な設備


面積基準は自治体で異なる


訓練・作業室の面積については、「利用者1人当たり〇㎡以上」といった基準が設けられることがありますが、その具体的な数値や最低面積の考え方は指定権者である自治体によって異なります。たとえば自治体によっては利用者1人当たりの面積基準を独自に定めている例もあります。物件を契約する前に、必ずお住まいの自治体の指定申請の手引きで最低面積・必要諸室を確認してください。設備基準を満たさない物件を先に契約してしまうと、改修費用や再契約のリスクが生じます。



開業までのステップと近年の改定動向


法人格と申請の流れ


生活介護の指定を受けるには、まず法人格(株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人など)が必要です。そのうえで、事前相談 → 物件・人員確保 → 指定申請 → 審査 → 指定(運営開始)という流れが一般的です。自治体によっては事前協議や事前相談が必須のところもあり、申請の締切やスケジュールも指定権者ごとに定められています。


令和6年度報酬改定のポイント


令和6年度報酬改定では、生活介護の基本報酬が利用定員規模やサービス提供時間に応じてより細かく設定されたほか、常勤看護職員等配置加算が看護職員の配置人数に応じた評価へ見直されるなどの変更が行われました(厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」)。


令和8年度(2026年)の期中改定にも注意


さらに、国の総合経済対策等を受け、令和9年度の通常改定を待たずに令和8年度(2026年)の期中(臨時)改定が、令和8年4月1日と6月1日の2段階で施行されます。処遇改善加算の対象拡大などが盛り込まれており、新規開設のタイミングによって適用される報酬・加算が変わり得ます(厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」)。開業を検討している場合は、施行時期と最新の告示を必ず確認しましょう。



よくある質問(FAQ)


Q1. 生活介護は障害支援区分がいくつから利用できますか?


原則は区分3以上ですが、50歳以上の方は区分2以上が対象です。施設入所支援と併せて利用する場合などは、それぞれ区分4以上・区分3以上が目安となります。区分が下回る場合でも、市町村が必要性を認めれば利用できる場合があります。最終的な対象判断は支給決定を行う市町村が行います。


Q2. 生活支援員は何人必要ですか?


利用者の平均障害支援区分によって変わります。平均区分4未満なら6対1、4以上5未満なら5対1、5以上なら3対1(いずれも常勤換算)が目安です。看護職員やPT・OT等を含めた総数で計算します。具体的な人数は利用者数と区分構成で決まるため、想定する利用者像から逆算してください。


Q3. 医師は常勤で雇わないといけませんか?


嘱託(非常勤の委嘱)でも差し支えないとされています。ただし配置がない場合は減算の対象となるため、契約形態も含めて準備が必要です。詳細な運用は自治体の手引きでご確認ください。


Q4. 設備の面積基準はどこで確認できますか?


訓練・作業室などの面積基準は指定権者(都道府県・指定都市・中核市等)によって異なります。物件契約前に、お住まいの自治体の「指定申請の手引き」で最低面積と必要諸室を必ず確認してください。


Q5. 法人がなくても申請できますか?


できません。生活介護の指定申請には法人格が必要です。法人設立から逆算してスケジュールを組むことをおすすめします。



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※本記事は2026年6月27日時点の一般的な情報をまとめたものであり、特定の事業所の指定可否や個別事案への助言を保証するものではありません。人員・設備・面積・報酬・加算の具体的な数値や運用は、最新の厚生労働省の告示・通知、および指定権者である自治体の指定申請の手引きで必ずご確認ください。


【主な参考・出典】

  • 厚生労働省「障害福祉サービスの内容」

  • 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」

  • 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」

  • 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)

  • 各自治体(指定権者)の指定申請の手引き


監修:行政書士 結和法務事務所

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