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施設外就労とは|要件と進め方・生産活動への活かし方を行政書士が解説

執筆者の写真: 和久 竹村
和久 竹村
7月22日
読了時間: 11分

施設外就労とは、企業から請け負った作業をその企業内で行う支援です。定員・職員配置・請負契約・個別支援計画などの要件、施設外支援との違い、令和3年度・6年度改定での加算や報告の取扱いの変化を、厚労省通知に沿って整理します。


結論


施設外就労(しせつがいしゅうろう)とは、企業から請け負った作業を、その企業の中で利用者と職員が一緒に行う支援のことです。厚生労働省の「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(平成19年4月2日障障発第0402001号/最終改正 令和6年3月29日障障発0329第7号。以下「留意事項通知」)に、算定できる要件が定められています。かつて存在した施設外就労加算は令和3年度報酬改定で廃止され、現在は基本報酬に組み込まれた扱いです。また、留意事項通知には「毎月の報告を不要とする」一方で「実績記録書類を作成・保存」する旨が明記されており、記録そのものが不要になったわけではありません。ただし運用の細部や様式は自治体(指定権者)ごとに異なるため、必ず最新の告示・通知と、お住まいの自治体の手引きでご確認ください。


施設外就労とは何か


定義:「企業内で行う支援」であること


留意事項通知では、施設外就労を「企業から請け負った作業を当該企業内で行う支援」と位置づけています。ポイントは、次の3点です。


・作業の発注元は企業であり、事業所がその作業を請け負っていること

・作業を行う場所が、その企業の中であること

・利用者と職員が一緒に出向いて行う支援であること


つまり、事業所の外に出れば何でも施設外就労になるわけではありません。「請け負った作業を、請負先の企業の中で行う」という形が基本の姿です。


施設外就労が制度上「特例」である理由


障害福祉サービスは本来、指定を受けた事業所(場所)でサービスを提供することが前提です。施設外就労は、指定を受けた場所とは別の場所で行う支援について報酬を算定できる「特例」の一つとして整理されています(仙台市障害福祉サービス指導課「施設外就労の留意事項」令和6年度集団指導資料でも同様の整理がされています)。特例である以上、要件の確認は通常より丁寧に行う必要があります。


施設外支援との違い


施設外就労とよく混同されるのが「施設外支援」です。留意事項通知では、どちらも「事業所とは別の場所で行われる支援」として並んで規定されていますが、中身は別物です。


施設外支援の要件


施設外支援は、職場実習や求職活動などを想定した仕組みで、留意事項通知では次の要件をすべて満たす場合に、1年間(4月1日から翌年3月31日まで)に180日間を限度として算定するとされています。


・施設外支援の内容が運営規程に位置付けられていること

・事前に個別支援計画に位置付けられ、1か月ごとに必要な見直しが行われ、就労能力や工賃(賃金)の向上および一般就労への移行が認められること

・利用者または実習受入事業者等から状況を聞き取り、日報が作成されていること

・支援の提供期間中における緊急時の対応ができること


なお、職場適応訓練を受講する場合など、一定の要件を満たすときは180日を超えて提供できる特例も定められています。


ざっくり言うと


・施設外就労=事業所が企業から作業を「請け負って」、企業内で作業する(日数上限の定めなし)

・施設外支援=実習・求職活動など(原則180日/年が上限)


「実習をお願いしたい」のか「作業を請け負いたい」のかで、そもそも適用される仕組みが違います。ここを取り違えると、記録も契約も噛み合わなくなりますのでご注意ください。


施設外就労の実施要件


留意事項通知が定める要件を、実務の流れに沿って整理します。


1. 利用定員を超えないこと


施設外就労の総数は、利用定員を超えないこととされています。定員20人の事業所であれば、施設外就労に出られるのは1日20人までという考え方です。あわせて、施設外就労により就労している者と同数の者を、主たる事業所の利用者として新たに受け入れることが可能とされています。


2. 職員配置(ここが最大の落とし穴)


留意事項通知は、次の2段構えの配置を求めています。


・施設外就労先:当該施設外就労を行う日の利用者数に対して、報酬算定上必要とされる人数(常勤換算方法による)の職員を配置する

・事業所:施設外就労を行う者を除いた前年度の平均利用者数に対して、報酬算定上必要とされる人数(常勤換算方法による)の職員を配置する


つまり「随行する職員」と「事業所に残す職員」は別勘定です。また、施設外就労を基本とする形態で就労継続支援B型事業を行う場合であっても、本体施設には管理者およびサービス管理責任者の配置が必要であるとされています。サービス管理責任者については、施設外就労を行う者の個別支援計画の作成に係る業務も担うことから、施設外就労を行う者を含めた前年度の平均利用者数に対して配置することとされています。


3. 運営規程への位置づけ


施設外就労の提供が、事業所の運営規程に位置づけられていることが要件です。運営規程を変更した場合は変更届の提出が必要になりますので、実施を決めたら早めに手続きの段取りを確認してください(提出先・様式は自治体により異なります)。


4. 個別支援計画への事前位置づけと評価


施設外就労を含めた個別支援計画が事前に作成され、就労能力や工賃(賃金)の向上および一般就労への移行に資すると認められることが要件です。「人手が足りないから連れて行く」ではなく、利用者ごとに適性・目標を話し合い、計画に書いてから始める、という順番になります。さらに、訓練目標に対する達成度の評価等を行った結果、必要と認められる場合には、施設外就労の目標その他個別支援計画の内容の見直しを行うこととされています。


5. 緊急時の対応ができること


外に出る以上、体調急変や事故の際にどう動くかを決めておく必要があります。連絡体制を文書化し、随行職員が携行できる形にしておくと確認時に説明しやすくなります。


6. 請負契約の締結


施設外就労先の企業とは、請負作業に関する契約を締結することとされ、契約時の留意点として次が挙げられています。


・作業の完成についての財政上および法律上のすべての責任は、事業所を運営する法人が負うことが契約上明確にされていること

・施設外就労先から法人に支払われる報酬は、完成された作業の内容に応じて算定されるものであること

・機械・設備等を借り入れる場合は賃貸借契約または使用貸借契約を締結し、材料等の供給を受ける場合は代金の支払い等について明確な定めを置くこと


7. 「独立して行う」こと


指導の主体は事業所です。留意事項通知は、請け負った作業についての利用者に対する必要な指導等は施設外就労先の企業ではなく事業所が行うこと、事業所は請け負った作業を企業から独立して行うこと、事業所が請け負った作業について利用者と企業の従業員が共同で処理していないこと、利用者と事業所との関係は施設内で行われる作業の場合と同様であることを求めています。企業の社員が利用者に直接指示を出す状態は、この点に抵触するおそれがあります。


報酬・加算の取扱い(改定で変わった点)


施設外就労加算は令和3年度に廃止


施設外就労に対しては、かつて加算が設けられていましたが、令和3年度障害福祉サービス等報酬改定で廃止され、就労系サービスの基本報酬に組み込まれる整理となりました。したがって、現在は「施設外就労をしたから加算がつく」という構造ではありません。報酬の適用単価については、主たる事業所の利用定員に基づく報酬単価を適用することとされています。


毎月の実績報告は不要、ただし記録の作成・保存は必要


令和6年3月29日改正後の留意事項通知では、実績の報告について「報酬請求に当たり、事業所からの毎月の報告を不要とするが、事業所には施設外就労の実績記録書類を作成・保存し、地方公共団体の判断で利用者の訓練状況等の実態把握が必要な場合には、事業所に確認すること」とされています。役所へ毎月出す手間はなくなっても、事業所内に記録を残す義務は残っている、という点をご注意ください。実地指導では、この記録が要件充足の説明材料になります。


なお、様式や提出運用は自治体によって独自の取扱いが残っている場合があります。最新の告示・通知および自治体の手引きで必ずご確認ください。


生産活動への活かし方


工賃の「原資」を外に取りに行く手段として


就労継続支援の工賃・賃金は、生産活動の収支から支払われます。内職単価の低さに悩む事業所にとって、施設外就労は企業の現場の仕事を単価ごと取り込める選択肢になり得ます。ただし、実施すれば工賃が上がると保証されるものではありません。作業単価、移動時間、随行職員の人件費を差し引いて、収支がどうなるかを事前に試算することが欠かせません。


一般就労への接続


企業の中で働く経験は、利用者にとって職場環境や人間関係を実地で知る機会になります。留意事項通知も、随行する支援員の業務として、作業程度・意向・能力等の状況把握、企業における作業の実施に向けての調整、作業指導等の必要な支援、ノウハウの蓄積および提供、企業や家族との連携などを挙げています。「作業をこなす」だけで終わらせず、把握したことを記録し支援に返す運用にできるかが分かれ目です。


始める前に決めておきたいこと


・どの作業を、どの単価で、どの頻度で請け負うのか

・随行職員を出しても事業所内の配置基準を満たせるか

・送迎・移動時間をどう扱うか

・企業側の窓口担当者と、指示系統をどう整理するか


よくあるご質問(FAQ)


Q1. 施設外就労に日数の上限はありますか。


A. 留意事項通知上、施設外支援のような「年間180日」という日数上限は施設外就労には定められていません。ただし施設外就労の総数が利用定員を超えないことが要件です。個別の運用は自治体の手引きでご確認ください。


Q2. 施設外就労加算は今もありますか。


A. 施設外就労加算は令和3年度報酬改定で廃止され、基本報酬に組み込まれる整理となりました。現在の加算の有無・名称は、最新の告示および自治体の資料でご確認ください。


Q3. 毎月の実績報告書は提出しなくてよいのですか。


A. 令和6年3月29日改正後の留意事項通知では、報酬請求に当たっての毎月の報告は不要とされています。一方で、実績記録書類の作成・保存は必要とされ、自治体の判断で確認を受けることがあります。自治体独自の運用が残る場合もあるため、必ず指定権者にご確認ください。


Q4. 施設外就労先の企業の社員が、利用者に直接作業を教えてもよいですか。


A. 留意事項通知では、請け負った作業についての利用者に対する必要な指導等は施設外就労先の企業ではなく事業所が行うこと、利用者と企業の従業員が共同で処理していないことが求められています。企業の協力を得ること自体は想定されていますが、指導の主体はあくまで事業所です。


Q5. 施設外就労を始めるには、まず何をすればよいですか。


A. 一般的には、(1)請負先と作業内容・単価の調整、(2)請負契約の締結、(3)運営規程への位置づけと変更届、(4)個別支援計画への位置づけ、(5)職員配置の再計算、という流れになります。手続きの順序や必要書類は自治体により異なりますので、着手前に指定権者へご確認ください。


まとめ


施設外就労は、企業から請け負った作業を企業内で行う支援であり、定員・職員配置・運営規程・個別支援計画・緊急時対応・請負契約という要件を満たして初めて成り立つ仕組みです。加算は令和3年度に廃止され基本報酬に包括化、毎月の実績報告は不要となった一方で記録の作成・保存は残る——この「変わった点」と「変わらない点」を押さえておくことが、実地指導への備えになります。取扱いは改定で変わりますので、最新の告示・通知および自治体の手引きで必ず最新の状況をご確認ください。


仕事づくりのご相談を承っています


ここまでお読みいただいてお気づきのとおり、施設外就労は「要件を満たす」ことよりも、そもそも請け負える仕事と、受け入れてくれる企業を見つけることのほうが難しい、という事業所さまが少なくありません。


行政書士 結和法務事務所では、生産活動の“仕事づくり”(受注先・施設外就労先の開拓)を支援する営業代行サービスをご提供しています。「仕事が足りない」「工賃を上げたい」とお悩みの事業所さまは、まずは無料相談でご相談ください。現在の生産活動の状況をうかがったうえで、進め方を一緒に整理いたします。


※本記事は令和8年7月時点の公表情報に基づく一般的な解説です。制度の取扱いは改定や自治体の運用により変わることがあります。実際の実施にあたっては、最新の告示・通知および指定権者(自治体)の手引きをご確認ください。


【参考】

・厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(平成19年4月2日障障発第0402001号/最終改正 令和6年3月29日障障発0329第7号)

・厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成18年10月31日障発第1031001号/最終改正 令和6年3月29日障発0329第33号)

・厚生労働省「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定について」

・仙台市障害福祉サービス指導課「施設外就労の留意事項」(令和6年度第2回 仙台市障害福祉サービス事業者等集団指導 資料5)

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