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施設外支援とは|算定要件・年180日の上限と施設外就労との違い

執筆者の写真: 和久 竹村
和久 竹村
7月21日
読了時間: 9分

施設外支援とは何かを、厚生労働省の留意事項通知をもとに行政書士が解説します。職場実習など対象となる活動、運営規程・個別支援計画・日報といった算定要件、年180日の上限、施設外就労との違い、令和6年度報酬改定の取扱いまで整理しました。


結論


施設外支援(しせつがいしえん)とは、就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)の利用者が事業所の外で職場実習や求職活動などを行う際に、事業所が支援を行い基本報酬を算定できる仕組みです。厚生労働省の「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(平成19年4月2日障障発第0402001号。最終改正・令和6年3月29日障障発0329第7号。以下「留意事項通知」)では、(1)運営規程への位置づけ、(2)事前に個別支援計画へ位置づけ1か月ごとに見直し、(3)日報の作成、(4)緊急時対応の4要件をすべて満たす場合に限り算定できるとされ、実施日数は原則1年間(4月1日〜翌年3月31日)に180日間が限度です。請け負った作業を企業内で行う「施設外就労」とは要件も職員配置も異なる別の制度ですので、混同しないようご注意ください。


施設外支援とは何か


制度の位置づけ


障害福祉サービスの報酬は、原則として指定を受けた事業所で支援を提供した場合に算定します。一方で、一般就労への移行を目指すうえでは職場での実習や求職活動が欠かせません。そこで留意事項通知は、事業所とは別の場所で行われる支援についても一定の要件のもとで所定単位数を算定できることとし、施設外支援と施設外就労の2類型を定めています。厚生労働省の報酬改定検討チーム資料でも、就労移行支援について「職場実習や求職活動、在宅就労など、事業所以外の場所での活動(施設外支援)も重要であることから、原則年間180日を限度として報酬の算定の対象としている」旨が説明されています。


対象となる活動


施設外支援の対象となる活動は、留意事項通知や国の資料をふまえると、主に次のようなものです。


・企業内での職場実習(企業実習)

・求職活動(ハローワークでの手続き、面接など)

・在宅における訓練

・職場適応訓練の受講

・障害者トライアル雇用・障害者短時間トライアル雇用(一定の要件を満たす場合)


また留意事項通知では、就労継続支援B型の利用に必要なアセスメント(就労面の課題等の把握)についても、就労移行支援事業所で行うことが本人の負担となる場合には、施設外支援を活用し、在籍する特別支援学校内などで実施できるとされています。


なお、どの活動が対象になるかの判断は、指定権者である都道府県・市町村によって運用に幅があります。必ず所管の自治体にご確認ください。


施設外支援の算定要件


留意事項通知は、次のアからエまでの要件を「いずれも満たす場合に限り」算定すると定めています。1つでも欠けると算定できませんので、体制づくりが重要です。


ア 運営規程への位置づけ


施設外支援の内容が、その指定障害福祉サービス事業所等の運営規程に位置付けられていることが必要です。運営規程に記載がないまま実施しているケースは、実地指導で指摘を受けやすい点です。実施を予定する場合は、事前に運営規程の変更と変更届の要否を確認しましょう。


イ 個別支援計画への位置づけと1か月ごとの見直し


施設外支援の内容が、事前に個別支援計画に位置付けられていることが必要です。そのうえで、1か月ごとに個別支援計画の内容について必要な見直しが行われていること、かつ当該支援により「就労能力や工賃(賃金)の向上及び一般就労への移行が認められること」が求められます。通知は指定権者に対しても、これに資するかどうか実地調査でよく確認するよう求めています。形式的に計画へ書き込むだけでなく、支援の目的と成果を説明できる状態にしておくことが実務上のポイントです。


ウ 日報の作成


利用者または実習受入事業者等から、施設外支援の提供期間中の利用者の状況について聞き取ることにより、日報が作成されていることが必要です。職員が同行しない場面でも、聞き取りによって状況を把握し記録に残すことが要件の中核です。


エ 緊急時の対応


施設外支援の提供期間中における緊急時の対応ができることが必要です。連絡体制や対応手順を、あらかじめ整理しておきましょう。


実施日数の上限(年180日)


起算期間と数え方


留意事項通知は「1年間(毎年4月1日に始まり翌年3月31日をもって終わる1年間とする。)に180日間を限度として算定する」と定めています。この「180日間」とは、利用者が実際に利用した日数の合計数となる点に留意が必要です。利用者ごとにカウントし、年度で区切って管理する運用となります。


また、同じ日に施設外支援と通常の施設利用の両方を行った場合は、施設外支援の実施日として扱うこととされています。


上限を超えられる特例


留意事項通知は、次の場合に180日を超えて提供することが可能としています。


・対象者が職場適応訓練を受講する場合であって、要件を満たし、かつ当該訓練が訓練受講者の就労支援に資すると認められるとき(当該訓練終了日まで延長可能)

・トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)であって、個別支援計画の見直しにおいて延長の必要性が認められた場合


なお、障害者トライアル雇用等を施設外支援の対象とする場合は、上記ア・ウ・エの要件に加え、施設外のサービス提供を含めた個別支援計画を3か月ごとに作成(施設外サービス提供時は1週間ごと)し、見直しを行うことが求められます。


施設外就労との違い


施設外就労は、留意事項通知において「企業から請け負った作業を当該企業内で行う支援」と定義されています。名称は似ていますが、施設外支援とは別の制度で要件も異なります。主な違いは次のとおりです。


・目的・内容:施設外支援は職場実習・求職活動・在宅訓練などの支援。施設外就労は、請負契約に基づく作業を企業内で行う支援。

・契約:施設外就労は、施設外就労先の企業と請負作業に関する契約の締結が必要。施設外支援には請負契約は前提とされていません。

・職員配置:施設外就労は、当日の利用者数に対して報酬算定上必要とされる人数(常勤換算方法)の職員配置が要件。施設外支援には、この形の人員配置要件はありません。

・人数・日数の上限:施設外就労は、その総数が利用定員を超えないことが要件で、日数上限はなし。施設外支援は年間180日の日数上限で管理されます。


施設外就労では、請け負った作業についての利用者への指導等を企業ではなく事業所が行うことなども求められます。


令和6年度報酬改定での取扱い


令和6年3月29日付の改正(障障発0329第7号)により、実務に影響する見直しが行われています。


・施設外支援の個別支援計画の見直し頻度は、現行の留意事項通知では「1か月ごと」です。改定前はより短い間隔とされていたとの解説も見られますが、改定前後の正確な変更内容は最新の告示・通知で要確認です。

・施設外就労について、実績の報告は「報酬請求に当たり、事業所からの毎月の報告を不要とする」とされました。ただし実績記録書類の作成・保存は必要で、地方公共団体の判断で実態把握が必要な場合には確認するとされています。報告が不要になっただけで、記録義務がなくなったわけではありません。


また、令和4年の障害者総合支援法改正に伴い、令和6年4月1日から、一般就労中の障害者でも就労系障害福祉サービスを一時的に利用できることが法令上位置づけられています。


さらに「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.8」(令和7年3月31日)では、法人が所有する建物を企業に賃貸してそこで請負作業を行う形態は、企業の実態がある場所での作業とはいえず施設外就労の要件を満たさないため基本報酬を算定できない、との考え方が示されました。形式的に契約を整えるだけでは要件を満たさない点は、両制度に共通する視点です。


実務上の注意点


日数・要件は告示や通知の改正で変わり得ます。届出書式や記録様式、対象活動の範囲などの細部は自治体ごとに手引きが異なりますので、最新の告示・通知と所管自治体の手引きで必ずご確認ください。また記録(個別支援計画、日報、実績記録書類)は実地指導で確認される部分です。「支援の目的」「実施状況」「見直しの結果」が第三者に読んでわかる形で残っているか、定期的な点検をおすすめします。


よくあるご質問(FAQ)


Q1. 施設外支援の180日は、事業所ごとの上限ですか。


「180日間」は利用者が実際に利用した日数の合計数とされており、利用者ごとに年度単位(4月1日〜翌年3月31日)で管理する運用が基本です。カウント方法は自治体の手引きでもご確認ください。


Q2. 午前だけ実習に行き、午後は事業所に戻った日はどう数えますか。


留意事項通知は「同日に施設外支援及び通常の施設利用を行った場合、施設外支援の実施日として扱うこと」と定めています。したがって、その日は施設外支援の実施日としてカウントされる取扱いとなります。


Q3. 職員が同行しなければ施設外支援は算定できませんか。


留意事項通知の要件は前述の4点であり、施設外就労のような当日の利用者数に応じた職員配置は要件とされていません。ただし、どこまでの関与を求めるかは指定権者の運用によって差がありますので、所管自治体にご確認ください。


Q4. 施設外就労の実績報告書は提出しなくてよくなったのですか。


改正後の留意事項通知では、報酬請求に当たっての毎月の報告を不要とする一方、事業所には実績記録書類を作成・保存し、地方公共団体の判断で実態把握が必要な場合には確認する、とされています。記録の作成・保存は引き続き必要です。提出の要否は自治体の運用もありますので、所管窓口でご確認ください。


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※本記事は制度の一般的な解説であり、個別の事案について結果を保証するものではありません。算定の可否や記録様式などの取扱いは、最新の告示・通知および所管自治体の手引きで必ずご確認ください。

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