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就労継続支援A型のスコア方式とは|評価項目と点数の考え方

執筆者の写真: 和久 竹村
和久 竹村
7月22日
読了時間: 13分

就労継続支援A型の基本報酬を決める「スコア方式」を、厚生労働省の令和6年度報酬改定資料をもとに解説します。労働時間・生産活動など7つの評価項目と配点、改定で変わった点、スコアの公表義務までを整理しました。


結論


就労継続支援A型(以下「A型」)の基本報酬は、事業所ごとの取組を点数化する「スコア方式」で決まります。評価項目は「労働時間」「生産活動」「多様な働き方」「支援力向上」「地域連携活動」「経営改善計画」「利用者の知識・能力の向上」の7項目で、満点は200点です(厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」別紙6)。令和6年度改定では、労働時間の上限が80点から90点に、生産活動が5〜40点から-20点〜60点へと見直され、経営改善計画(最大-50点)と利用者の知識・能力の向上(最大10点)が新設されました。配点の重心は「労働時間」と「生産活動」に大きく傾いており、なかでも生産活動は減点もあり得る項目になっています。


なお、本記事の点数は厚生労働省の改定資料および告示様式(別紙30)に基づいて整理していますが、スコアの届出様式・提出期限・添付書類の運用は自治体によって異なります。実際の届出にあたっては、最新の告示・通知および指定権者(都道府県・政令市・中核市)の手引きで必ずご確認ください。


スコア方式とは何か


基本報酬が「一律」ではない仕組み


スコア方式とは、A型事業所の運営状況を評価項目ごとに点数化(スコア化)し、その合計点に応じて基本報酬の単位数を決める仕組みです。平成31年(2019年)4月から導入され、令和6年度報酬改定で評価項目と配点が大きく見直されました。


同じA型事業所でも、利用者の労働時間が長く、生産活動の収支が健全な事業所ほど高いスコアとなり、基本報酬も高くなります。逆にスコアが低ければ基本報酬も下がります。「利用者を受け入れていれば一律に同じ報酬」ではない、という点がスコア方式の本質です。


なお基本報酬の単位数は、スコアの合計点だけでなく、利用定員の規模と人員配置区分(7.5:1以上か10:1以上か)の組み合わせによっても変わります。具体的な単位数と区分の区切りは報酬告示で定められていますので、金額の試算は最新の告示・自治体の手引きで要確認としてください。


7つの評価項目と配点(令和6年度改定後)


| 評価項目 | 点数の幅 |

|---|---|

| Ⅰ 労働時間 | 5点 〜 90点 |

| Ⅱ 生産活動 | -20点 〜 60点 |

| Ⅲ 多様な働き方 | 0点 〜 15点 |

| Ⅳ 支援力向上 | 0点 〜 15点 |

| Ⅴ 地域連携活動 | 0点 〜 10点 |

| Ⅵ 経営改善計画【新規】 | -50点 〜 0点 |

| Ⅶ 利用者の知識・能力の向上【新規】 | 0点 〜 10点 |

| 合計 | 200点(満点) |


(出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」別紙6「就労継続支援A型の基本報酬におけるスコア方式について」)


上限を足し上げると、90+60+15+15+10+0+10=200点となり、ちょうど満点になります。一方で経営改善計画と生産活動には減点があるため、合計点はマイナス方向にも振れ得る設計です。


評価項目ごとの中身と点数の考え方


(Ⅰ)労働時間 — 5点〜90点


前年度に雇用契約を締結していた利用者の労働時間の合計を、当該利用者の合計数で割って算出した「1日の平均労働時間」で、8段階に評価します。


・7時間以上:90点

・6時間以上7時間未満:80点

・5時間以上6時間未満:65点

・4時間30分以上5時間未満:55点

・4時間以上4時間30分未満:40点

・3時間以上4時間未満:30点

・2時間以上3時間未満:20点

・2時間未満:5点


平均労働時間が長いほど利用者の賃金増加につながり、支援コストもかかると考えられるため高く評価される、というのが厚生労働省の示す評価の視点です。単独で90点=満点の45%を占める最大項目です。


なお、通常の事業所に雇用されている利用者で一時的にA型を利用している方は算定から除きます。また、利用開始時には予見できない事由により1日の労働時間が4時間未満となった利用者については、「1日の平均労働時間算定除外届出書」により90日を上限として平均労働時間の算出から除外できる取扱いがあります(岐阜県障害福祉課「就労継続支援A型事業所に係る評価方法(スコア)について」等)。始業・終業時刻、休憩・早退・欠勤の記録を適切に残しておくことが前提となります。


(Ⅱ)生産活動 — -20点〜60点


「生産活動収支」とは、生産活動に係る事業の収入から、生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額をいいます。この生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額以上であるかどうかを、前年度・前々年度・前々々年度の3か年で見て6段階に評価します。


・3年度すべてで生産活動収支が賃金総額以上:60点

・前年度および前々年度が賃金総額以上:50点

・前年度が賃金総額以上:40点

・前年度が賃金総額未満:20点

・前年度および前々年度が賃金総額未満:-10点

・3年度すべてで賃金総額未満:-20点


ここが令和6年度改定の核心部分です。上回れば加点、下回れば減点という構造が明確になり、しかも過去3年をさかのぼって見られます。1年だけ改善しても、前年度・前々年度の実績が残っている限りは満点に届きません。裏を返せば、生産活動の立て直しは早く着手するほど効きやすい項目だといえます。


前提として、指定障害福祉サービス基準第192条第2項は、生産活動収支が利用者に支払う賃金の総額以上となるようにしなければならない旨を定めています。つまり「収支が賃金総額を上回っていること」は、加点のためのボーナス条件ではなく、そもそも指定基準上求められている状態です。


(Ⅲ)多様な働き方 — 0点〜15点


次の8項目について、就業規則その他これに準ずる規程等で定めている場合に1項目1点として評価し、合計点に応じて3段階で点数化します。


①免許・資格の取得の促進、検定の受験の勧奨に関する事項

②利用者を職員として登用する制度に係る手続・要件・採用時期に関する事項

③在宅勤務に係る労働条件および服務規律に関する事項

④フレックスタイム制に係る労働条件に関する事項

⑤1日の所定労働時間を短縮するに当たり必要な労働条件に関する事項

⑥早出遅出勤務に係る労働条件に関する事項

⑦有給休暇の時間単位付与または計画的付与制度の取得に関する事項

⑧私傷病の療養のための休暇の取得に関する事項


・5点以上:15点

・3点または4点:5点

・2点以下:0点


改定前は「任意の5項目について規程を定め、かつ利用者が実際に制度を活用した実績がある」ことまで求め、最大35点でした。改定後は規程整備そのもので1点となり要件は緩やかになった一方、配点の上限は15点に下がっています。


(Ⅳ)支援力向上 — 0点〜15点


職員側の取組を評価する項目です。次の8項目の取組実績に応じて1項目1点とし、合計点に応じて3段階で評価します。


①研修計画に基づく外部研修会等への参加、または外部講師による内部研修会の開催

②外部研修会等への講師派遣、学会等での研究発表または実践報告

③先進的な取組を行う他事業所等への視察・実習への参加、または視察等の受入れ

④販路拡大・事業拡大等に向けた展示会出展、商談会参加その他のビジネスマッチングの取組

⑤昇給・昇格と連動した人事評価制度の整備

⑥障害者ピアサポート研修(基礎研修および専門研修)を修了した者によるピアサポートの配置

⑦前年度末日から過去3年以内の福祉サービス第三者評価の受審

⑧国際標準化機構が制定したマネジメントシステム規格等の認証取得または更新審査等の受審


・5点以上:15点

・3点または4点:5点

・2点以下:0点


こちらも改定前は最大35点でしたが、15点に縮小されました。④の商談会・展示会への参加が支援力向上の項目に含まれている点は、生産活動の受注確保と地続きの評価軸だといえます。


(Ⅴ)地域連携活動 — 0点〜10点


前年度に実施した、地元企業と連携した高付加価値の商品開発、施設外就労による地域での働く場の確保等の取組について、報告書を作成し、インターネットの利用その他の方法により公表していることをもって評価します。このとき、報告書に連携先である地元企業等から「当該取組が地域連携活動である旨の意見または評価」が付されていることが必要です。


・1事例以上ある場合:10点


なお、令和6年度改定において地域連携活動の評価方法・配点に変更はありません(別紙6に「Ⅴについては変更なし」と明記)。「必須化された」といった説明を見かけることがありますが、一次資料上はあくまで0〜10点の任意加点項目です。ただし報告書の様式や添付の求め方は自治体によって案内が異なりますので、指定権者の手引きでご確認ください。


(Ⅵ)経営改善計画 — -50点〜0点【令和6年度新設】


経営改善計画の作成・提出状況に基づく減点項目です。


・提出を求められていない、または期日までに提出している:0点

・経営改善計画を提出期限までに未提出の場合:-50点


生産活動収支が賃金総額を下回っている事業所は、指定基準を満たしていない状態であり、経営改善計画書の提出を求められます。この提出を怠ると-50点という大きな減点になります。加点を積み上げるより、この-50点を発生させないことのほうが影響は大きいと考えられます。提出期限や様式は自治体ごとに定められていますので、必ず所管の案内をご確認ください。


(Ⅶ)利用者の知識・能力の向上 — 0点〜10点【令和6年度新設】


前年度において、利用者の知識および能力の向上に向けた支援を行い、その具体的な内容を記載した報告書を作成し、インターネットの利用その他の方法により公表していることをもって評価します。


・取組が1以上ある場合:10点


利用者の一般就労に向けた意欲の創出や社会参加につながる取組を評価する、という位置づけです。「実施していること」だけでなく「報告書を作成し公表していること」まで満たして初めて加点される点に注意が必要です。


令和6年度改定で変わった点


◇改定前後の比較


| 評価項目 | 改定前 | 改定後 |

|---|---|---|

| Ⅰ 労働時間 | 5点〜80点 | 5点〜90点 |

| Ⅱ 生産活動 | 5点〜40点 | -20点〜60点 |

| Ⅲ 多様な働き方 | 0点〜35点 | 0点〜15点 |

| Ⅳ 支援力向上 | 0点〜35点 | 0点〜15点 |

| Ⅴ 地域連携活動 | 0点〜10点 | 0点〜10点(変更なし) |

| Ⅵ 経営改善計画 | - | -50点〜0点(新設) |

| Ⅶ 利用者の知識・能力の向上 | - | 0点〜10点(新設) |

| 合計 | 200点 | 200点 |


(出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」別紙6)


読み取れる方向性


厚生労働省は改定の趣旨として「経営状況の改善や一般就労への移行等を促すため」と明記しています。比較表から読み取れるのは次の3点です。


・労働時間と生産活動の2項目だけで、合計150点(満点200点の75%)を占める構造になった

・生産活動は、上限が40点から60点へ引き上げられただけでなく、下限が5点から-20点へと減点方式に転じた

・多様な働き方・支援力向上といった「制度整備・体制づくり」系の項目は、合計70点から30点へと比重が下がった


規程を整備して形を整えることで積み上げられる点数は縮小し、実際の労働時間と生産活動の収支という「実績」で差がつく設計に寄ったといえます。厚生労働省の審議会資料では、生産活動収支が利用者の賃金総額を下回っている事業所が全体のおよそ半数にのぼることも示されており(最新の数値は厚生労働省の公表資料で要確認)、生産活動の収支改善は多くの事業所にとって共通の課題となっています。


スコア表の公表義務を忘れずに


スコアは算定して届け出れば終わりではありません。指定障害福祉サービス基準第196条の3は、A型事業者に対し、事業所ごとにおおむね1年に1回以上、利用者の労働時間その他の運営状況に関し厚生労働大臣が定める事項について自ら評価を行い、その結果をインターネットの利用その他の方法により公表しなければならないと定めています。実務上は毎年度4月中の公表とされています。


公表する書類は、様式2-1「スコア表(全体)」、様式2-2「スコア表(実績Ⅰ〜Ⅳ)」、および地域連携活動で10点を加点している場合は様式1「地域連携活動実施状況報告書」です。公表方法は、障害福祉サービス等情報公表システム(WAM NET)での公表を原則としつつ、事業所ホームページ等での公表も可能な限り行うことが求められます。


スコア方式による評価内容が未公表の場合は「自己評価未公表減算」となり、所定単位数の85%を算定する(15%の減算)取扱いとなります。せっかくスコアを積み上げても、公表を落とすと減算で相殺されかねません。なお、新規指定を受けた事業所の初年度は前年度実績がなくスコアを算出できないため公表を要しない取扱いがありますが、年度途中指定の場合の取扱いを含め、自治体により案内が異なりますので所管にご確認ください。


よくあるご質問(FAQ)


Q1. スコアはいつの実績で評価されるのですか。


A. 原則として前年度の実績で評価します。ただし生産活動については、前年度・前々年度・前々々年度の3か年の生産活動収支を見る点が他項目と異なります。過去の実績が残るため、改善の効果が満点に反映されるまでには時間がかかります。


Q2. 生産活動収支が赤字だと、必ずスコアがマイナスになりますか。


A. 生産活動の項目単体では、前年度が賃金総額未満なら20点、前年度・前々年度がいずれも未満なら-10点、3年度すべて未満なら-20点となります。合計スコアは労働時間などの他項目との合算ですので、生産活動が減点でも合計がマイナスになるとは限りません。ただし経営改善計画書の未提出による-50点が重なると、影響は大きくなります。


Q3. 「多様な働き方」は制度を作っただけで加点されますか。


A. 令和6年度改定後は、就業規則その他これに準ずる規程等で定めていることをもって1項目1点として評価します。改定前に求められていた「利用者が実際に制度を活用した実績」は、評価方法の見直しにより取扱いが変わっています。ただし実績シートへの記載など様式上の求めがありますので、最新の告示・通知および自治体の手引きでご確認ください。


Q4. スコア表の公表はホームページだけで足りますか。


A. 原則として障害福祉サービス等情報公表システム(WAM NET)で公表したうえで、事業所ホームページ等での公表も可能な限り実施することが求められます。自治体によっては提出方法や掲載先の案内が異なりますので、所管の指定権者にご確認ください。


Q5. 経営改善計画書の提出期限はいつですか。


A. 提出時期・様式は自治体ごとに定められており、全国一律ではありません。決算の確定後に提出を求める運用が一般的ですが、必ず所管自治体の案内をご確認ください。期限までに未提出の場合は-50点となるため、期限管理は特に重要です。


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ここまで見てきたとおり、令和6年度改定後のスコア方式は、生産活動の収支に大きな比重が置かれています。しかし収支を改善しようにも、「そもそも仕事の量が足りない」「単価の合う受注先が見つからない」というご相談は少なくありません。研修や規程整備で積める点数が縮小した以上、受注そのものを増やす取組の重要性は増しています。


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※本記事は令和6年度報酬改定時点の公表資料に基づく一般的な解説であり、個別の事業所における報酬額や取扱いを保証するものではありません。スコアの算定・届出・公表の具体的な運用は自治体により異なります。最新の告示・通知および所管自治体の手引きを必ずご確認ください。


【主な参考資料】

・厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」別紙6「就労継続支援A型の基本報酬におけるスコア方式について」

・別紙30(別添1)「就労継続支援A型事業所におけるスコア表(全体)」様式2-1

・厚生労働大臣の定める事項及び評価方法(令和3年厚生労働省告示第88号)、同留意事項通知(令和3年3月30日障発0330第5号)

・障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第192条第2項、第196条の3

・岐阜県障害福祉課「就労継続支援A型事業所に係る評価方法(スコア)について」

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