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計画相談支援の始め方|特定相談支援事業所の指定要件を解説

執筆者の写真: 和久 竹村
和久 竹村
7月6日
読了時間: 9分

結論:計画相談支援は「特定相談支援事業所」の指定を受けて始めます


計画相談支援(けいかくそうだんしえん)を行うには、市町村から「指定特定相談支援事業者」の指定を受ける必要があります。最低限そろえるべき人員は、相談支援専門員(そうだんしえんせんもんいん)1名と管理者1名で、この2つは兼務が認められているため実質1名から立ち上げが可能です。相談支援専門員になるには、原則として3〜10年の実務経験と「相談支援従事者初任者研修」の修了が求められます。この記事では、事業の全体像から指定要件、申請の流れ、令和8年(2026年)6月施行の相談支援向け処遇改善加算までを、公式情報にもとづき整理します。なお具体的な運用や書類は指定権者(市町村・都道府県)によって差があるため、必ず申請先の手引きをあわせてご確認ください。


計画相談支援とは何か


障害福祉サービスの利用に不可欠な「ケアマネジメント」


計画相談支援とは、障害のある方が障害福祉サービスを利用する際に、本人や家族の意向をふまえて「サービス等利用計画」を作成し、関係する事業所との連絡調整を行う支援です。介護保険でいうケアマネジャーの役割に近く、障害福祉サービスの支給決定に不可欠な仕組みとして位置づけられています。


計画相談支援は、内容によって次の2つに分かれます(厚生労働省「相談支援業務に関する手引き」令和6年3月)。


  • サービス利用支援(りようしえん)……サービスの利用開始時などに、アセスメントを行い「サービス等利用計画」を作成し、支給決定後に関係機関と連絡調整のうえ計画を確定する支援です。

  • 継続サービス利用支援(けいぞくりようしえん)……いわゆるモニタリングにあたります。作成した計画が適切に機能しているかを定期的に確認し、利用状況や支援効果を分析・評価したうえで、必要に応じて計画を見直す支援です。


「特定相談支援」と「障害児相談支援」の関係


計画相談支援を提供する事業所が「指定特定相談支援事業所」です。ここで注意したいのが、対象者による制度の分かれ方です。


  • 特定相談支援事業(計画相談支援)……障害者総合支援法にもとづく事業で、主に18歳以上の障害福祉サービス利用者などが対象です。指定権者は市町村です。

  • 障害児相談支援事業……児童福祉法にもとづく事業で、障害児通所支援を利用する児童が対象です。指定権者は市町村です。


18歳未満の障害児であっても、居宅介護など「障害福祉サービス」を利用する場合は特定相談支援(計画相談支援)の対象となり、児童福祉法の通所支援を利用する場合は障害児相談支援の対象となる、という整理になります。実務では両方を利用する子どももいるため、多くの事業所は特定相談支援と障害児相談支援の両方の指定を同時に取得します。相談支援専門員は業務に支障がなければ両事業を兼務でき、その場合の最低人員は1名で足ります。


特定相談支援事業所の指定要件


指定を受けるための要件は、大きく「人員基準」「設備基準」「運営基準」の3つに整理できます(指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準/平成24年厚生労働省令第28号)。


相談支援専門員の要件


相談支援専門員は、事業所ごとに1名以上の配置が必要です。相談支援専門員になるには、次の2つをともに満たす必要があります。


1. 一定の実務経験

障害者・障害児の保健・医療・福祉・就労・教育の分野における相談支援・介護等の実務経験が求められます。従事した業務や保有資格によって必要な年数が異なり、おおむね3年から10年の範囲です。たとえば、相談支援・介護等の直接支援業務では原則5年(900日以上)、国家資格等をもって相談支援・直接支援に従事した場合などは短縮され最短3年、無資格で介護等の業務のみの場合は10年、といった区分が設けられています(厚生労働省資料)。実務経験の該当範囲は細かく定められているため、ご自身の経歴がどの区分にあたるかは、都道府県の研修実施要綱や実務経験の手引きで必ず確認してください。


2. 相談支援従事者初任者研修の修了

上記の実務経験を満たしたうえで、都道府県が実施する「相談支援従事者初任者研修(しょにんしゃけんしゅう)」を修了する必要があります。カリキュラムは厚生労働省が定めており、講義・演習等で構成されます。研修時間や実習の有無は自治体で運用差があるため、受講予定の都道府県の案内でご確認ください。


なお相談支援専門員の資格を維持するには、原則5年ごとに「相談支援従事者現任研修」を受講する必要があります。研修を受けないと相談支援専門員として業務を続けられなくなる点に注意が必要です。


管理者の要件


事業所ごとに管理者1名を置きます。管理者には特別な資格要件はありません。専らその職務に従事することが原則ですが、管理業務に支障がない範囲であれば、同じ事業所の相談支援専門員や、他の事業所・施設の職務との兼務が認められています。前述のとおり、管理者と相談支援専門員は兼務できるため、最低1名から事業を始めることが可能です。


設備・運営の基準


設備面では、事業運営に必要な広さの区画と、相談内容が外部にもれないよう配慮された相談スペース、必要な備品などが求められます。運営面では、運営規程の整備、重要事項の説明と契約、秘密保持、苦情対応、会計の区分などが基準として定められています。求められる面積や図面の様式、消防関係の書類などは指定権者によって差が大きいため、申請先の手引きに沿って準備してください。


指定申請から開業までの流れ


一般的なステップ


計画相談支援の事業開始までは、おおむね次の流れで進みます。


  1. 法人格の準備……相談支援事業は法人でなければ指定を受けられません。株式会社・合同会社・NPO法人・社会福祉法人などの法人格が必要です。定款の事業目的に相談支援事業を記載しておきます。

  2. 人員の確保……要件を満たす相談支援専門員を確保します。開業者自身が相談支援専門員となる場合は、実務経験と初任者研修の修了を先に整えておく必要があります。

  3. 物件・設備の準備……相談スペースなど基準を満たす事務所を確保します。

  4. 事前相談……指定権者の障害福祉担当課に事前相談を行います。多くの自治体で事前相談が実質必須となっています。

  5. 指定申請……申請書と添付書類を提出します。自治体により受付期間(毎月〇日締め、翌月1日指定など)が決まっていることが多く、スケジュールに注意が必要です。

  6. 審査・指定……書類審査を経て指定を受け、指定日から事業を開始できます。


指定権者による差に注意


申請書類の様式、事前相談の要否、受付スケジュール、必要な添付書類(実務経験証明書、研修修了証の写し、平面図、写真、資産状況を示す書類など)は、市町村・都道府県によって異なります。「隣の市ではこうだった」という情報が、そのまま自分の申請先に当てはまるとは限りません。着手前に、必ず申請先自治体の最新の手引きを入手して確認することが、遠回りを防ぐ最大のポイントです。


報酬と加算の最新動向


基本報酬と機能強化型


計画相談支援の基本報酬は、「サービス利用支援費」と「継続サービス利用支援費」が中心です。加えて、常勤の相談支援専門員を手厚く配置し、一定の組織的要件(人員体制、24時間の連絡体制、支援困難ケースへの対応など)を満たす事業所には、「機能強化型」の高い基本報酬区分が設けられています。手厚い体制ほど評価される仕組みで、区分ごとに要件と単位が細かく定められています。具体的な単位数と要件は告示および自治体の手引きで最新のものをご確認ください。


令和8年(2026年)6月施行の相談支援向け処遇改善加算


これまで処遇改善加算の対象外だった相談支援分野に、大きな変更が入りました。令和8年度(2026年度)の障害福祉サービス等報酬改定(臨時的な見直し)により、計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援が新たに処遇改善加算の対象に加えられ、令和8年6月から施行されています(こども家庭庁・厚生労働省資料)。


算定にはキャリアパス要件や職場環境等要件を満たす必要がありますが、準備期間を考慮した特例措置として、年度内に要件を整える旨を届け出れば要件整備前でも算定を開始できる配慮が設けられているとされています。加算率など具体的な数値は改定内容として示されていますが、区分や算定要件の細部は今後の運用や自治体の取扱いで変わり得るため、最新の告示・自治体の手引きで要確認としてください。相談支援事業所にとっては、職員の処遇を改善しながら加算を得られる重要な機会となります。


よくある質問(FAQ)


Q1. 相談支援専門員は1人だけで開業できますか。

A1. はい。相談支援専門員と管理者は兼務が認められているため、要件を満たす方が1名いれば、特定相談支援事業所として指定を受けることが可能です。ただし、担当できる利用者数には実務上の限界があり、機能強化型などの上位報酬を目指す場合は常勤の相談支援専門員を複数配置する体制が必要になります。


Q2. 特定相談支援と障害児相談支援は別々に申請するのですか。

A2. 制度上は障害者総合支援法と児童福祉法で分かれる別事業のため、それぞれ指定申請が必要です。ただし多くの自治体では同時申請が可能で、相談支援専門員の兼務も認められています。子どもの利用者にも対応したい場合は、両方の指定取得を検討するとよいでしょう。


Q3. 実務経験が足りているか自分で判断できません。

A3. 実務経験の該当範囲と年数の区分は細かく、従事した業務内容や保有資格によって変わります。ご自身の経歴がどの区分にあたるかは、受講予定の都道府県の研修実施要綱や実務経験の手引きで確認するのが確実です。判断に迷う場合は、都道府県の障害福祉担当課や専門家にご相談ください。


Q4. 初任者研修はいつでも受けられますか。

A4. 相談支援従事者初任者研修は都道府県が実施し、多くは年に数回、定員制で行われます。人気が高く募集がすぐに埋まることもあるため、開業スケジュールを立てる際は研修の開催時期と申込期間を早めに確認しておくことをおすすめします。


Q5. 令和8年の処遇改善加算は相談支援事業所も必ず算定できますか。

A5. 対象事業には加えられましたが、算定にはキャリアパス要件や職場環境等要件を満たし、届出を行うことが前提です。特例措置により要件整備前の算定開始が認められる場合がありますが、取扱いは自治体で差があります。算定を検討する際は、最新の告示と申請先自治体の案内を必ずご確認ください。


まとめ


計画相談支援を始めるには、市町村から特定相談支援事業所の指定を受けることが出発点です。鍵となるのは、実務経験と初任者研修を満たした相談支援専門員を確保すること、そして指定権者ごとに異なる手引きに沿って準備を進めることです。令和8年からは相談支援分野にも処遇改善加算が導入され、事業運営の環境も変わりつつあります。本記事は制度の全体像を整理したものであり、具体的な数値・要件は最新の告示や自治体の手引きで必ずご確認ください。


行政書士 結和法務事務所では、障害福祉分野の指定申請サポートを行っております。開業をご検討の際はお気軽にご相談ください。


※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の指定可否や医療的判断を保証するものではありません。制度は改正されることがあります。最新かつ正確な取扱いは、申請先の市町村・都道府県の窓口および公式資料でご確認ください。

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