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自立訓練(生活訓練)の始め方|指定要件・人員基準・対象者

執筆者の写真: 和久 竹村
和久 竹村
7月5日
読了時間: 8分

結論:生活訓練は「暮らしの力」を育てる訓練系サービス。人員・設備・運営の3基準を満たして指定を受ける


自立訓練(生活訓練)(じりつくんれん・せいかつくんれん)は、地域で自立した生活を送るために、生活能力の維持・向上を図る訓練を提供する障害福祉サービスです。開業には、都道府県または指定都市・中核市など指定権者(していけんじゃ)の指定を受ける必要があり、人員基準・設備基準・運営基準の3つを満たすことが前提となります。中核となる職種はサービス管理責任者(サビ管)と生活支援員です。標準利用期間は原則2年間(24か月)とされ、人によっては延長が認められる場合があります。指定基準や報酬は令和6年度(2024年度)改定に加え、令和8年(2026年)6月を中心とした臨時応急的な見直し(期中改定)でも動いており、最新の告示・お住まいの自治体の手引きで必ず確認してください。



自立訓練(生活訓練)とは|対象者と機能訓練との違い


サービスの位置づけ


自立訓練は、障害者総合支援法に基づく「訓練等給付」に区分される障害福祉サービスで、大きく「機能訓練」と「生活訓練」に分かれます。生活訓練は、日常生活を営む上で必要な生活能力の維持・向上を目的とし、食事・家事・金銭管理・服薬管理・対人関係といった暮らしの基礎を、通所や訪問を通じて訓練するものです(WAM NET 障害者福祉サービス解説)。


対象者


WAM NETや各自治体の手引きによれば、生活訓練の主な対象者は次のいずれかに該当する方とされています。


  • 入所施設や病院を退所・退院した方で、地域生活へ移行するにあたり生活能力の維持・向上などの支援が必要な方

  • 特別支援学校を卒業した方や、継続した通院により症状が安定している方で、地域生活を営む上で生活能力の維持・向上などの支援が必要な方


対象者の考え方は、精神障害・知的障害のある方を主に想定した設計になっています。実際の支給決定は市町村が行うため、個別の該当性はお住まいの自治体(市町村)にご確認ください。


機能訓練との違い


同じ自立訓練でも、機能訓練と生活訓練では想定する対象と内容が異なります。


  • 機能訓練:主に身体障害・難病等の方を対象に、身体機能・生活能力の維持・向上のためのリハビリテーション(理学療法・作業療法等)を中心に行います。標準利用期間は原則1年6か月(18か月)とされています。

  • 生活訓練:主に精神障害・知的障害等の方を対象に、生活能力の維持・向上を目的とした訓練を行います。標準利用期間は原則2年間(24か月)とされています。


この標準利用期間は、長期入院や施設入所からの移行など一定の要件に該当する場合、より長い期間(生活訓練で36か月など)が設定される取扱いがあります。適用の可否は制度の告示と自治体の運用によりますので、最新の告示・自治体の手引きで要確認としてください。



人員基準|サービス管理責任者・生活支援員などの配置


生活訓練の人員基準は、指定基準(人員・設備・運営に関する基準)で定められています。ここでは代表的な職種を整理しますが、配置数の算定方法や兼務の可否は指定権者(自治体)により異なる運用があるため、必ず最新の基準とお住まいの自治体の手引きで確認してください。


サービス管理責任者(サビ管)


利用者の状況を把握し、個別支援計画を作成する中核職種です。配置数の目安は次のとおりです(札幌市ほか自治体の指定申請の手引きより)。


  • 利用者60人以下:1人以上

  • 利用者61人以上:60人を超えて40人またはその端数を増すごとに1人を加算(うち1人以上は常勤)


サビ管には、一定の実務経験と、サービス管理責任者研修(基礎研修・実践研修)の修了などの要件があります。要件の詳細は都道府県の研修制度に基づくため、指定権者にご確認ください。


生活支援員


日々の訓練・支援を担う職種です。配置数は「常勤換算」で算定され、通所利用者の数を基準とする考え方が示されています。自治体の手引きでは、生活支援員(および看護職員・理学療法士・作業療法士等を含む職種)の総数を、通所による利用者数を6で除した数(6:1)などを基準として算定するとされ、うち1人以上は常勤とする取扱いが一般的です。宿泊型を併設する場合など、事業形態によって算定式が加わることがあります。


なお、訪問によるサービス(訪問型)を提供する場合は、上記に加えて、訪問による生活訓練を行う生活支援員を別途1人以上配置することが求められます。


地域移行支援員


宿泊型自立訓練を実施する場合に必要となる職種で、1人以上を配置します。日中の通所型・訪問型の生活訓練のみを行う場合は、原則として必須ではありません。


管理者


原則として管理業務に専従しますが、支障がない範囲で当該事業所の他の職務や、同一敷地内の他事業所の職務と兼務できる場合があります。兼務の可否は指定権者(自治体)により異なります。


※上記の「6:1」などの配置比率や算定式は、事業所の形態(通所型・訪問型・宿泊型)や令和6年度以降の基準改正により変わり得ます。数値は最新の告示・お住まいの自治体の手引きで要確認としてください。



設備基準|訓練・作業室、相談室ほか


生活訓練の設備基準では、サービス提供に必要な次のような設備が求められます(自治体の指定申請の手引きより)。


  • 訓練・作業室:訓練や作業に支障のない適切な広さを確保し、必要な機器等を備えること

  • 相談室:プライバシーに配慮し、間仕切り等により相談内容が漏れないようにすること

  • 洗面所・便所:利用者の特性に応じた設備とすること

  • その他、事業運営に必要な備品等


宿泊型自立訓練を行う場合は、これに加えて居室(収納設備等を除いた面積の下限が定められています)や浴室等が必要になります。建築基準法・消防法・バリアフリー関連条例など、他法令の基準も併せて満たす必要があるため、物件選定は指定基準と併せて早めに確認することをおすすめします。設備の具体的な数値・要件は指定権者(自治体)により異なります。



運営基準と報酬|個別支援計画・記録・最新改定


運営基準の主なポイント


運営基準では、重要事項説明・契約、個別支援計画の作成と定期的な見直し(モニタリング)、サービス提供記録の作成・保存、苦情対応、秘密保持、身体拘束等の適正化、業務継続計画(BCP)・虐待防止・感染症対策に関する体制整備などが求められます。これらは近年の基準改正で整備が進められている項目であり、開業時から仕組みとして備えておく必要があります。


報酬と最新改定の動き


生活訓練の基本報酬・加算・減算は、令和6年度(2024年度)障害福祉サービス等報酬改定を基礎としています。さらに、障害福祉サービス費用の伸びや従事者の処遇改善を背景に、令和8年(2026年)6月を中心とした臨時応急的な見直し(期中改定)が実施される流れとなっており、加算の算定要件などが見直される見込みです。報酬は事業計画に直結する重要事項ですので、厚生労働省の告示・通知および指定権者の情報で最新の内容を必ずご確認ください。



開業までの一般的な流れ


生活訓練の開業は、おおむね次のような流れで進みます(詳細・所要期間は指定権者により異なります)。


  1. 事業構想の整理(対象者・提供形態=通所型/訪問型/宿泊型・規模の決定)

  2. 法人の設立または事業目的の確認(指定には法人格が必要)

  3. 物件の選定と設備基準・他法令の確認

  4. 人員の確保(サービス管理責任者・生活支援員等)

  5. 指定権者への事前相談

  6. 指定申請書類の作成・提出

  7. 現地確認等を経て指定・事業開始


事前相談から指定まで一定の期間を要するため、開設希望月から逆算した早めの準備が重要です。



FAQ|自立訓練(生活訓練)のよくある質問


◇Q1. 機能訓練と生活訓練はどちらを選べばよいですか?


主な対象者と内容が異なります。身体機能のリハビリを中心に身体障害・難病等の方を支援するなら機能訓練、日常生活の力を育てる訓練を精神・知的障害等の方に提供するなら生活訓練が基本の考え方です。両方を行う場合の取扱いは指定権者(自治体)にご確認ください。


Q2. 標準利用期間の2年を過ぎたら必ず終了しますか?


生活訓練の標準利用期間は原則2年間(24か月)ですが、一定の要件に該当する場合は延長が認められることがあります。延長の可否・上限は制度の告示と自治体の運用によりますので、最新の告示・自治体の手引きで要確認としてください。


Q3. 法人でなくても開業できますか?


指定を受けるには法人格が必要です。株式会社・合同会社・NPO法人・社会福祉法人などの形態があり、既存法人の場合は定款の事業目的に当該サービスが含まれているかの確認が必要です。


Q4. 訪問型だけで始められますか?


生活訓練は通所による集団支援を基本とする設計になっており、訪問型の実施には要件があります。訪問型を行う場合は訪問を担当する生活支援員の配置も必要です。単独での訪問型実施の可否は指定権者(自治体)により異なりますので、事前相談で確認してください。


Q5. サービス管理責任者は開業時に何人必要ですか?


利用者60人以下の規模であれば1人以上が目安です。ただし配置数・兼務・研修修了要件の取扱いは指定権者により異なるため、最新の基準と自治体の手引きでご確認ください。



※本記事は、厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定・関係告示、WAM NET、各自治体(例:札幌市・東京都等)の指定申請の手引きなどの公表情報を基に、一般的な内容を整理したものです。制度は改正され、基準・報酬・数値は指定権者(自治体)により異なります。実際の指定申請にあたっては、必ず最新の告示・通知およびお住まいの自治体の手引きをご確認いただくか、専門家にご相談ください。効果や指定の可否を保証するものではありません。

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