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業務継続計画(BCP)未策定減算とは|義務化と作り方を解説

執筆者の写真: 和久 竹村
和久 竹村
7月7日
読了時間: 7分

結論:BCP未策定は「基本報酬の減算」につながります


業務継続計画(BCP、ビジネス・コンティニュイティ・プラン=事業を継続するための計画)は、令和6年(2024年)4月1日から、障害福祉サービス等の全事業者に策定が義務づけられました。この義務化にあわせて、計画を策定していない事業所の基本報酬を引き下げる「業務継続計画未策定減算」が新設されています。


減算率は、療養介護・施設入所支援・共同生活援助などの施設・居住系サービスで基本報酬の3%、居宅介護・生活介護・児童発達支援・放課後等デイサービスなどの訪問・通所系サービスで基本報酬の1%が目安です(厚生労働省 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定関係資料による)。ただし1年間の経過措置が設けられており、令和7年(2025年)3月31日までは一定の要件を満たせば減算されませんでした。裏を返せば、令和7年4月以降は本格的に減算が適用されるため、未策定の事業所は早急な対応が必要です。以下で、義務化の中身と作り方を整理します。


業務継続計画(BCP)とは何か


感染症と自然災害の「2種類」を備える計画


BCPとは、感染症の流行や地震・水害などの自然災害が発生しても、利用者へのサービス提供をできる限り中断させず、中断した場合も早期に再開するための計画です。障害福祉分野では、大きく次の2種類を備えることが求められます。


  • 感染症に係る業務継続計画(新型コロナウイルス感染症などのまん延を想定した計画)

  • 自然災害に係る業務継続計画(地震・風水害などを想定した計画)


厚生労働省は「障害福祉サービス事業所等における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」および「自然災害発生時における業務継続ガイドライン」を公表しており、これらの様式(ひな型)に沿って作成すると要件を満たしやすくなります。


「作って終わり」ではない:周知・研修・訓練までがワンセット


BCPは策定するだけでは足りません。省令上、事業者には以下の取り組みが求められています。


  • 業務継続計画の策定

  • 従業者への計画の周知

  • 必要な研修の実施

  • 必要な訓練(シミュレーション)の実施

  • 計画の定期的な見直し


研修・訓練の実施回数は指定権者(都道府県・市町村など指定を行う行政)の手引きで示されている場合が多く、感染症・自然災害それぞれについて計画的に行う運用が一般的です。具体的な回数や様式は自治体で示され方が異なるため、必ず管轄の指定権者の最新の手引き・通知で確認してください。


業務継続計画未策定減算の中身


いつから・どのサービスが対象か


業務継続計画の策定は令和6年4月1日から義務化され、これに伴い未策定減算も同日から制度上スタートしました。対象は障害福祉サービス等の幅広いサービスで、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、短期入所、生活介護、施設入所支援、自立生活援助、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、児童発達支援、放課後等デイサービスなどが含まれます。


減算率(施設・居住系と訪問・通所系で異なります)


減算率はサービス類型によって2区分に分かれます。


  • 施設・居住系サービス(療養介護、施設入所支援、共同生活援助、宿泊型自立訓練、障害児入所施設など):基本報酬の3%を減算

  • 訪問・通所系サービス(居宅介護、生活介護、児童発達支援、放課後等デイサービスなど多数):基本報酬の1%を減算


この区分・減算率は厚生労働省の令和6年度報酬改定関係の告示・通知に基づくものですが、対象サービスの細目や算定の取扱いは改定・臨時改定で変わり得ます。適用にあたっては、必ず最新の告示および管轄の指定権者の手引きで数値と対象範囲を確認してください。


減算はいつの分から適用されるか


未策定が判明した場合、減算は「基準を満たさない事実が生じた月」にさかのぼって適用される取扱いです。たとえば運営指導(実地指導)で未策定が判明すると、判明した月からではなく、要件を満たしていなかった月分の基本報酬にさかのぼって減算されるおそれがあります。遡及適用となる点が、この減算の重い部分です。


1年間の経過措置とその「終了」


令和7年3月31日までの取扱い


制度導入時には、事業所が計画を整える準備期間として経過措置が置かれました。令和7年3月31日までの間は、感染症の予防およびまん延の防止のための指針の整備、または非常災害に関する具体的計画(非常災害対策計画)の策定を行っている場合には、BCPそのものが未完成でも減算されない取扱いとされていました。


また、訪問系サービス・福祉用具貸与・居宅介護支援など一部のサービスについては、令和7年3月31日までの間は減算を適用しないこととされていました。さらに就労選択支援など一部の新しいサービスでは、別途より長い経過措置が示されている場合があります(例:令和9年3月31日まで等)。これらの適用範囲は自治体資料で示され方が異なるため、自事業所が該当するかは指定権者の手引きで確認してください。


令和7年4月以降は「本番」


重要なのは、この経過措置が令和7年3月末で一区切りを迎えた点です。令和7年4月以降は、BCP本体が未策定であれば減算の対象となります。令和7年10月などの運営指導で未策定が判明した場合、令和7年4月分の報酬までさかのぼって減算されるおそれがある、という説明が複数の自治体資料で示されています。すでに経過措置は終了している前提で、早めに計画・研修・訓練を整えておくことが大切です。


BCPの作り方(実務ステップ)


ステップ1:ガイドラインのひな型を入手する


まずは厚生労働省の業務継続ガイドライン(感染症編・自然災害編)と、そこに添付されているひな型(様式)を入手します。ゼロから作るのではなく、ひな型の項目を自事業所の実態に置き換えていくのが最短ルートです。


ステップ2:必須項目を埋める


一般的に、BCPには次のような項目を盛り込みます。


  • 総則(目的、基本方針、推進体制)

  • 平時の対応(備蓄、連絡体制、役割分担)

  • 緊急時の対応(初動、意思決定者と代替者、参集基準)

  • 利用者・職員の安全確保とサービス継続・縮小の判断基準

  • 他事業所・自治体・医療機関等との連携

  • 感染症編では感染拡大防止策・ゾーニング・職員の確保、自然災害編では被害想定・避難・ライフライン停止時の対応


ステップ3:周知・研修・訓練を実施し、記録に残す


計画は職員へ周知し、研修と訓練(机上訓練やシミュレーション)を行います。実施日・参加者・内容を記録に残しておくことが、運営指導での確認に備えるうえで有効です。


ステップ4:定期的に見直す


体制変更や実際の災害・感染対応で得た気づきを反映し、計画を更新します。「策定→周知→研修→訓練→見直し」のサイクルを回すことが、減算回避と、なにより利用者の安全につながります。


指定権者による違いに注意


BCPの様式例、研修・訓練の推奨回数、届出や自己点検の方法は、都道府県・政令市・中核市・市町村など指定権者ごとに案内が異なります。減算率や対象サービスといった大枠は国の告示・通知で共通ですが、運用上の細かな手続きや提出書類は自治体差があります。必ず自事業所を管轄する指定権者の最新の手引き・通知を確認してください。判断に迷う場合は、障害福祉に詳しい行政書士など専門家に相談することをおすすめします。


よくある質問(FAQ)


Q1.BCPは感染症用と自然災害用の両方が必要ですか。

A.はい。障害福祉分野では、感染症に係る業務継続計画と自然災害に係る業務継続計画の両方を備えることが求められます。それぞれ想定するリスクが異なるため、別立てで整理するのが一般的です。


Q2.計画を作れば研修や訓練はしなくてもよいですか。

A.いいえ。策定に加えて、従業者への周知、研修、訓練(シミュレーション)、定期的な見直しまでが一連の義務です。作成だけでは要件を満たさないため注意してください。


Q3.減算率は何%ですか。

A.目安として、施設・居住系サービスは基本報酬の3%、訪問・通所系サービスは1%です。対象サービスの細目や取扱いは改定で変わり得るため、最新の告示・自治体の手引きで要確認としてください。


Q4.経過措置はまだ使えますか。

A.令和7年3月31日までの経過措置は一区切りを迎えています。令和7年4月以降は、原則としてBCP本体が未策定であれば減算対象です。自事業所の該当区分は指定権者の資料でご確認ください。


Q5.未策定が後から判明したらどうなりますか。

A.運営指導などで未策定が判明した場合、判明した月からではなく、要件を満たしていなかった月分にさかのぼって減算されるおそれがあります。遡及適用のリスクがあるため、早めの整備が重要です。


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※本記事は令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に関する厚生労働省の関係告示・通知・Q&A、および各自治体(指定権者)の公表資料をもとに、障害福祉専門の行政書士監修のもと作成した一般的な情報提供です。減算率・適用時期・対象サービス・経過措置の詳細は、必ず最新の告示および管轄の指定権者の手引きでご確認ください。個別の判断については、行政書士 結和法務事務所までお気軽にご相談ください。

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