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個別支援計画の作り方|アセスメントから未作成減算対策まで

執筆者の写真: 和久 竹村
和久 竹村
7月8日
読了時間: 7分

結論:個別支援計画は「一連の業務」を漏れなく行い記録に残すことが減算回避のカギ


個別支援計画(利用者一人ひとりの目標と支援内容を定めた計画書。以下「計画」)の作成は、サービス管理責任者(サービス提供の質を管理する責任者。以下「サビ管」)や児童発達支援管理責任者が担う中核業務です。作成は書類を1枚仕上げれば終わりではなく、「アセスメント→原案作成→担当者会議→本人・家族の同意→交付→モニタリング」という一連の業務を順序どおりに行い、それぞれの記録を残すことが求められます。この流れのどこか一つでも欠けると「個別支援計画未作成減算」の対象となり、事業所の基本報酬が大きく減額されます。さらに令和6年度報酬改定では、完成した計画を相談支援事業所へ交付・共有する取扱いが明確化されました。本記事では作成プロセスと減算対策を、公式資料をもとに整理します。


個別支援計画とは何か


計画が果たす役割


個別支援計画は、利用者本人の希望や課題を踏まえ、どのような目標に向けてどんな支援を行うのかを具体的に定めた文書です。生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援A型/B型・共同生活援助(グループホーム)などの障害福祉サービス、および児童発達支援・放課後等デイサービスなどの障害児通所支援において、原則としてすべての利用者について作成が義務づけられています。


作成の責任者はサビ管・児発管


計画作成の一連の業務を統括するのはサビ管(障害児支援では児童発達支援管理責任者。以下「児発管」)です。現場の支援員が下書きを手伝うことはあっても、アセスメントの実施、原案の作成、担当者会議の主宰、モニタリングといった中核業務はサビ管・児発管の指揮のもとで行う必要があります。この体制が整っていないと、後述の減算につながります。


個別支援計画の作り方【6ステップ】


厚生労働省の基準省令が定める作成プロセスは、次の順序で進めます。


STEP1:アセスメント(現状把握)

利用者本人と面接し、本人の希望、心身の状況、生活環境、これまでの経緯などを把握します。アセスメントは面接(面談)により行うことが原則とされており、本人不在で書類だけを埋める進め方は認められません。把握した内容はアセスメントシートに記録します。


STEP2:原案の作成

アセスメントの結果をもとに、サビ管・児発管が長期目標・短期目標・具体的な支援内容・提供時間などを盛り込んだ「原案」を作成します。障害児支援では、令和6年度報酬改定を受け「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5領域との関連を意識した記載が求められるようになりました。


STEP3:担当者会議(サービス担当者会議)

原案について、支援に関わる担当者を集めて会議を開き、内容の妥当性やアセスメントとのずれを確認します。会議の議事録は必須書類の一つです。令和6年度報酬改定では、成人向けサービスにおいて、この会議に利用者本人が参加することが原則とされました(障害児支援では義務づけられていません/指定権者により運用が異なる場合があるため、各自治体の手引きで要確認)。


STEP4:本人・家族への説明と同意

完成した計画の内容を利用者本人(障害児の場合は保護者)へ説明し、文書による同意を得ます。同意日はモニタリングや次回作成の起点になるため、正確に記録します。


STEP5:交付(本人・相談支援事業所への共有)

同意を得た計画を利用者本人・保護者に交付します。加えて令和6年度報酬改定により、作成した計画を(障害児)相談支援事業所へ提供し内容を共有する取扱いが明確化されました。相談支援事業所が作成するサービス等利用計画と、事業所の個別支援計画を連動させる趣旨です。共有の具体的な方法・タイミングは指定権者により運用が異なる場合があるため、各自治体の手引きで要確認としてください。


STEP6:モニタリング(定期的な見直し)

計画に基づく支援の実施状況を定期的に確認し、目標の達成度や新たな課題を評価します。障害福祉サービスでは少なくとも6か月に1回、障害児通所支援でも定期的な実施が求められます(サービス種別により頻度が異なる場合があるため、最新の告示・自治体の手引きで要確認)。モニタリングの結果、見直しが必要であれば、再度アセスメントから計画を作り直します。


令和6年度からの主な変更点


令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(令和6年4月施行)では、計画の作成手続に関して主に次の見直しが行われました。


  • 成人向けサービスで、サービス担当者会議への利用者本人の参加が原則化された

  • 作成した個別支援計画を相談支援事業所へ提供・共有する取扱いが明確化された

  • 障害児支援では、5領域との関連を踏まえた支援内容の記載が求められるようになった


いずれも、本人中心の支援と関係機関の連携強化を狙ったものです。詳細は厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」および「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A」で公表されています。


個別支援計画未作成減算とは


減算が適用されるケース


「個別支援計画未作成減算」は、次のような場合に適用されます。


  • サビ管・児発管が配置されていない、またはその指揮のもとで計画が作成されていない

  • アセスメント、担当者会議、本人同意、交付といった一連の業務が適切に行われていない

  • モニタリングを行うべき時期に実施していない


つまり、計画書という「成果物」が存在しても、そこに至るプロセスや記録が欠けていれば減算対象になり得る、という点が重要です。


減算率(要件と割合)


一般に、減算は次のように段階的に重くなるとされています。


  • 未作成となった月から2か月目まで:所定単位数の70%(30%減算)

  • 未作成の状態が3か月以上続く場合:所定単位数の50%(50%減算)


この減算は原則としてその事業所の全利用者の基本報酬に及ぶため、影響は非常に大きくなります。減算率・起算方法・対象範囲はサービス種別や改定により細部が異なり、また指定権者によって運用の解釈が分かれる場合があります。適用の可否・割合は最新の告示および各自治体の手引き・Q&Aで必ず確認してください。


減算を防ぐための実務チェックポイント


日付管理を徹底する


最も多い指摘は「モニタリングの時期を逃した」「同意日と作成日の整合が取れていない」といった日付のミスです。前回のモニタリングから6か月を超えないよう、期限をカレンダーやシステムで管理しましょう。


必須書類を4点セットで残す


アセスメントシート、原案、担当者会議の議事録、同意を得た個別支援計画書の4点は、一連の業務を証明する基本書類です。いずれも作成日・実施日・サビ管氏名を明記し、欠けがないよう整えておきます。


サビ管の配置・関与を確認する


サビ管・児発管が実際に一連の業務を指揮しているかを、運営指導(実地指導)を想定して定期点検します。人員配置基準そのものは「サービス管理責任者欠如減算」など別の減算にも関わるため、あわせて確認しておくと安心です。


よくある質問(FAQ)


Q1.個別支援計画は誰が作成できますか。

A1.作成の一連の業務は、サービス管理責任者(障害児支援では児童発達支援管理責任者)が指揮して行います。支援員が原案作成を補助することはありますが、責任者の関与が前提です。


Q2.モニタリングはどのくらいの頻度で行いますか。

A2.障害福祉サービスでは少なくとも6か月に1回が目安とされています。サービス種別により頻度が異なる場合があるため、最新の告示・自治体の手引きで要確認としてください。


Q3.計画書を作っていれば減算は避けられますか。

A3.いいえ。書類があっても、アセスメント・担当者会議・本人同意・交付・モニタリングといった一連の業務や記録が欠けていれば、未作成減算の対象となり得ます。


Q4.相談支援事業所への計画共有は必ず必要ですか。

A4.令和6年度報酬改定で、作成した計画を相談支援事業所へ提供・共有する取扱いが明確化されました。具体的な方法・タイミングは指定権者により運用が異なる場合があるため、各自治体の手引きで確認してください。


Q5.減算率はどのくらいですか。

A5.一般に、未作成2か月目までは所定単位数の70%、3か月以上で50%とされています。詳細な割合・起算方法は最新の告示および各自治体の手引きで必ずご確認ください。


まとめ


個別支援計画は、アセスメントから交付・モニタリングまでの一連の業務を順序どおりに行い、記録を残すことが何より重要です。令和6年度報酬改定では本人参加や相談支援事業所への共有が強化されました。未作成減算は全利用者の基本報酬に及ぶ重い減算です。日付管理と必須書類の整備、サビ管の関与確認を徹底しましょう。制度の細部は指定権者により運用が異なる場合があるため、厚生労働省の告示・Q&Aおよび各自治体の手引きで最新情報をご確認ください。


(本記事は制度理解を助ける一般的な情報であり、効果や結果を保証するものではありません。個別の申請・運営指導対応については、指定権者または専門家にご相談ください。)

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